【第2回】ぷぅ先生のこれまでの歩みを教えて!
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ねぇねぇ、ぷぅ先生。
前に、産婦人科医になって7年目でヨーロッパの国際学会の講師に抜擢される…っていう、びっくりするようなデビューの話をしてくれたよね。
でもさ、ぼく思ったんだ。
そんな劇的なチャンスって、偶然だけで掴めるものじゃないよね。
ぷぅ先生が海外でも評価されるようになった理由って、何だったんだろう。
「ふふ。チャンスは確かに『ご縁』よ。
でもね、そのご縁をちゃんと掴むためには、日々の積み重ねでつくる土台が必要だと思うの」
土台?
「圧倒的に『見て』、『記録して』、『伝える』。この3つの土台ね。
今日はそれをテーマにしましょうか」

わぁ、ありがとう!
何から聞こうかな…。圧倒的に『見る』っていうところから知りたいな。
そうだ、ぷぅ先生が胎児の脳にここまで向き合うようになったのって、いつ頃からなの?
「きっかけはね、1992年に初めて経腟超音波ですごく小さい胎児の無頭蓋症診断したこと。その時に、痛感したのよ。
小さい赤ちゃんの形は経腟超音波でわかるんだなと思ったけど、ある程度大きくなった赤ちゃんの脳は妊婦さんのお腹から見ていて、細かいところが『見えないな』って」
見えないのに診断をする…。
それはきっととても怖いよね。
「そう。見えないって、診断の限界に直結するの。
その後ある症例に出会ったの。脳に異常がありそうで経腹超音波で一生懸命みて100枚くらい画像写真を撮ったのね。でもどうしても脳の中がどうなっているかわからなくて…。
その夜思いついたの。小さい赤ちゃんをみるように経腟超音波(下からのエコー)で、胎児の脳を観察できないかって」
それで、どうだったの?
「驚くくらい、見えたのよ!
脳の微細な構造とか、血流とか。『え、ここまで鮮明に見えるの?』っていうレベルで」
わぁ…。
そこが、ぷぅ先生の『胎児脳』の原点なんだ。
「だけどね、見えただけじゃ終わらない。
次は見逃さないための土台を作る必要があったの」

あ、わかった!
そこで出てくるのが、噂の「1,000例プロジェクト」だね。
「そう。異常を見逃さないためには、まず『正常を完璧に知る』しかないと思ったの。
だから自分に課したのが、1年間で1,000例の胎児脳を毎日記録して観察すること。
私の中では『胎児が私の教師(Fetuses are my teachers)』なのよ」
1,000例ってさ…気が遠くなる数字だよ…。
「大変だったけれど、そんなことを気にしている暇はなかったわね。
毎日記録して、見て、比べて。その積み重ねがないと、異常って気づけないの。
『ここに異変がある』と判断するためには、正常な状態をきちんと知っていないとね」
なるほど…。まずは正常な状態を頭に叩き込むことで、ほんの小さな違いにも気づけるようになるんだね。
海外で驚かれるぷぅ先生の『超音波画像』ってセンスがあるからっていう理由だけじゃなくて、努力の賜物なんだ。
「そうね、大部分は『鍛えた目と腕』になると思うわ」

うんうん。
ところで、ぷぅ先生の画像って「美しい」とも言われるよね。
医療なのに美しいって言われるの、不思議だなぁって思ってるんだけど…。
「そうね、私も最初はそう思った。
でもね、世界には『科学として正確であること』と同時に、『見た人が理解できること』を評価する文化があるの」
科学として正確であることと、見た人が理解できること…。
つまり、ただキレイっていうより「正確で、しかも一目でわかる」から美しいって言われるんだね。
具体的に、どんなことがあったの?
「アメリカの国立衛生研究所(NIH)の周産期部門に呼ばれた時のことよ。
私が撮ったエコー画像が大きなパネルになって、廊下に何十枚も展示されたの」

えっ!展示!?
美術館みたい!
「そうなのよ。
科学的に正しいことは大前提。でも、その上で『見た瞬間に伝わる』画像は強い。
私はそこで気づいたの。サイエンスとアートというのは表裏一体だということに。
すべてのパネルにサインを求められ、漢字で『夫 律子』ってサインしたの。なんか自分の仕事に誇りを持った瞬間だったかな。
ぷぅ先生、かっこいい…。
でもさ、海外で評価されるって、見た瞬間に伝わる画像だけじゃなくて話し方や伝え方の部分も大きいよね。
「その通り。
私の伝える力の原点はね、若い頃に恩師から叩き込まれた一言にあるの」
恩師からの一言?
「1993年に国内の学会で初めて症例報告の発表前のランチのとき、村田雄二先生(当時米国カリフォルニア大学教授でその後大阪大学教授になられたすごい先生)に聞かれたのよ。『どんな症例だ』って。
私は事実を並べて説明した。そしたら先生が、こう言ったの。『お前がオーディエンスに伝えるメッセージは何だ?3分で考えろ』って」
うわぁ…鋭い…!
「頭が真っ白になったわよ。何も答えられなかった。だって症例報告だから事実を報告するものだと思ったのね。
その時に村田先生に教えられたの。
『ただ症例の事実を並べるんじゃない。どんなリスクがあり、どうやってクリアできたか。だから、注意する点は〇〇だ。そういうことをオーディエンスに伝えることこそ症例報告なんだ』」

つまり、聞いた人の行動が変わる結論が必要なんだね。
「そう。私はそれを『つかみとオチ』と呼ぶこともある。
30年以上経っても、スライドを作る時は毎回それを自分に問うのよ。今日のメッセージは何?って」
だから、ぷぅ先生のお話って聞いてる人が置いていかれないんだ!
「置いていくプレゼンは、自己満足だからね。
相手が誰で、何を持ち帰ってほしいか。そこから逆算するの」
前にお話ししてくれた国際学会デビューって、確かにドラマみたいな出来事だったけど、今日の話を聞いたらわかった気がする。
たまたまチャンスが来たんじゃなくて、
1,000例の探究で見る力を鍛えて、世界が驚く画像を撮って、メッセージを磨いて伝える力を持っていたから、
チャンスが成功につながったんだね。
「そうね。運だけじゃ続かないのよ。
でも、努力だけでも届かない時がある。
だから私は日々のご縁に感謝してるし、そのご縁に恥じないだけの準備をしていたいと思ってる」

うぅ……ぼく、また感動しちゃった。
「ご縁に恥じない準備」って、簡単に言えない言葉だよね。
だからこそ、ぷぅ先生の言葉には説得力があるんだ。
今日もお話を聞かせてくれてありがとう!
次のお話も楽しみにしてるね、ぷぅ先生。
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