【日本初】妊娠初期の患者全例に「妊娠高血圧腎症リスク判定」を実施

Medical Workers

2025年4月より、クリフムでは妊娠高血圧腎症(PE)スクリーニング検査によるリスク判定を開始しました。この取り組みは妊娠高血圧腎症の予防と啓発を目的としたもので、初期胎児ドック49,800円(税込)内に含まれている検査です。
妊娠初期に来院する患者の「全例」に実施するようになったのは、クリフムが日本初となります。

母体の命に関わる「妊娠高血圧腎症(PE)」とは

妊娠高血圧腎症(Preeclampsia, PE)は、妊娠中に高血圧やタンパク尿が現れる重篤な合併症です。放置すると、母体の臓器障害や胎児の発育不全、早産、さらには命に関わるリスクが高まります。

WHOは、年間約46,000人の妊産婦死亡と約500,000人の胎児・新生児死亡をもたらしていると推定(※1)

陸上競技=五輪金メダリストで、妊娠8か月だったトリ・ボウイ(Tori Bowie)選手が2023年4月に32歳の若さで亡くなったのも、妊娠高血圧腎症(PE)が原因でした(※2)。陸上競技選手のように健康だと思っていた人でも、突然命を奪われることがあります。

PEリスクは通常の妊婦健診では気づかれず、妊婦さん自身の自覚症状もほとんどありません。妊娠初期に客観的にPEのリスクを知ることは赤ちゃんとお母さんの命を守ることにつながります。

この様な悲しい出来事が繰り返されないよう、欧米・アジアで国際研究が行われています。

Circulationに掲載されました

クリフムも国際多施設研究に参加し、妊娠初期PEリスク判定に基づいた低用量アスピリン療法の重要性を証明。「Circulation」というインパクトファクターの非常に高いジャーナル(医学雑誌)にその成果が掲載(※3)されました。

※1 参照元:2009~2020年の世界および地域別妊産婦死亡原因:WHOによる体系的分析。Lancet Glob Health. 2025.
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/pre-eclampsia
※2 参照元:CNN「Olympic gold medalist Tori Bowie died from childbirth complications, autopsy finds」
https://edition.cnn.com/2023/06/13/sport/tori-bowie-sprinter-childbirth-death-spt
※3 参照元:Nguyen-Hoang L, Dinh LT, Tai AS, Nguyen D-A, Pooh RK, Shiozaki A, et al. Implementation of First-Trimester Screening and Prevention of Preeclampsia: A Stepped Wedge Cluster-Randomized Trial in Asia. Circulation. 2024;150(16):1223-1235. doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.124.069907(PubMed: 38923439)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38923439/

妊娠高血圧腎症(PE)スクリーニング検査とは

クリフムの妊娠高血圧腎症(PE)スクリーニング検査【通称:F-PE検査】は国際研究の方法と同じで、ママの血中のPlGF(胎盤成長因子)、平均血圧(両腕2回ずつの平均)、子宮動脈の抵抗値(UTPI)をそれぞれ測定し、その測定値ごとにMoM(Multiple of Median)が計算されます。MoMは、正常妊婦の中央値を1.00とした時にどれくらい離れているかを表すものです。この値と母体情報(年齢、体重、身長、既往歴など)を組み合わせて確率を計算し、妊娠高血圧腎症(PE)のリスクを判定します。

このスクリーニングにより、リスクの高い妊婦さんを早期に特定し、適切な自己管理や予防策を提案することが可能となるのです。

クリフムで妊娠初期全例にF-PE検査を提供している理由

PEは母子双方にとって重大なリスクを伴う疾患ですが、国際的な研究によって、妊娠16週になるまでに低用量アスピリン治療を開始することで発症率が有意に減少すると報告されています(※4)。多くの国で妊娠初期のスクリーニングが実施されているのです。

本取り組みは、PEリスクを理解してもらい、PEリスク判定を妊娠初期に行い、PEを予防することで1人でも多くのママと赤ちゃんの命を守ることを目的としています。

日本初となる初期胎児ドックへのF-PE検査の標準追加により、すべての妊婦さんに包括的な診断を提供し、安心した妊娠生活を過ごしていただきたいと考えています。

クリフムの出生前診断は、診断することが目的ではなく、診断したときこそがスタートです。PEハイリスクとなった妊婦さんには主治医と連携してフォローアップを行なっています。ハイリスク例では単にアスピリン内服するだけでなく、毎日の体重測定・血圧測定、食事や水分の内容や摂取法など妊婦自身の自己管理も非常に重要ですので、クリフムではそれらの指導も実施しています。

まずはお気軽にお問い合わせください。

※4 参照元:Roberge S, Bujold E, Nicolaides KH. Aspirin for the prevention of preterm and term preeclampsia: systematic review and metaanalysis. American Journal of Obstetrics & Gynecology. 2018;218(3):287–293.e1. doi:10.1016/j.ajog.2017.11.561(PMID: 29138036)
https://www.ajog.org/article/S0002-9378%2817%2932326-8/fulltext

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