NTとは

What is NT?

NT(首のうしろのむくみ)について

NTとは?

NTはNuchal Translucencyの頭文字で、妊娠11-13週頃の赤ちゃんの首の後ろに見られるむくみのことを言います。NTは、多かれ少なかれすべての赤ちゃんに存在しています。

大人でも、1日中立ち仕事をした後に足がむくんだり、お酒を飲んだ翌日に顔や手がむくんだりすることがあります。これは身体機能上の生理現象です。循環機能(血液やリンパの流れ)が未熟な初期の小さい赤ちゃんは、循環が不安定であることが多いのでむくみが出やすいのです。NTがある、ないというのは基本的に間違った言い方です。NTは全ての正常な赤ちゃんにあり、週数とともに少しずつ厚くなります。

そのため、妊娠初期の赤ちゃんのNTは必ずしも病気というわけではありません。初期の小さい赤ちゃんは循環が不安定であることが多いのでむくみが出やすいのです。

NTが病的かどうかの検査方法

NTが病的なものによるかどうかの判断は、赤ちゃんの全身を検査しないとわかりません。

クリフムでは、妊娠初期(11-13週)に「初期胎児ドック」をご案内しています。胎児ドックは、妊婦健診よりも詳しく赤ちゃんの状態がわかる精密超音波検査です。5-9cmという小さな赤ちゃんのNTもしっかりと確認できます。

詳しくは「お腹の赤ちゃんドック(胎児ドック)」のページをご覧ください。

胎児ドック(お腹の赤ちゃんドック)を見る

初期胎児ドックの結果、染色体異常のリスクを十分に説明させていただいたうえで、ご希望の患者さまには、ママのお腹に注射器を入れて絨毛を採取する「絨毛検査」をその日に行なって、染色体検査が可能です。

絨毛検査・羊水検査を見る

NTは病気のサイン?

これまでクリフムには、「健診でNTと言われた」と泣きながら来院される患者様がたくさんいらっしゃいます。

しかし、「NTはどの赤ちゃんにも見られる生理現象であり、病的かどうかはしっかりと検査をして確認していきましょう」とご説明差し上げることで、落ち着いて初期胎児ドックを受けていただいています。

NTは病気を表すのではなく、一時的な生理現象であることが大半です。クリフムにも、むくみの検査で紹介されてくる患者さまがたくさんいらっしゃいますが、多くの赤ちゃんは成長とともにむくみが消えていきます。むくみがあるだけで胎児病ということではありません。

写真の赤ちゃんはNTが分厚かったのですが、その後むくみも薄くなり、無事に生まれました。その後、元気に育っています。

NTの図

ママとパパには、赤ちゃんのむくみが少し分厚いことで、より赤ちゃんと向き合えるきっかけが増えたと考えていただきたいです。

NTが消えれば安心?

分厚いむくみも、赤ちゃんの成長と共に消えていきます。

これは、赤ちゃんのすばらしい順応能力によるもので、もし病気であったとしても、その状態で血液やリンパを上手に回せるようになったからです。

つまり、むくみが消えたらと言って、赤ちゃんの病気の可能性がなくなったかと言えば、決してそうではありません。例えばダウン症や18トリソミーの赤ちゃんでもむくみが薄くなっていく赤ちゃんはいるのです。

また、NTが薄いから問題ない、という解釈も間違いです。その理由について、図を交えて説明していきます。

図1
※クリックで原寸表示

(図1)そもそも、NTの計測には高い正確性が求められ、高度な技術が必要となります。図のように、赤ちゃんの頭と上部胸郭だけを画面いっぱいに写し、鼻尖・鼻骨・間脳が確認できる画面で計測されなければいけません。この画面を正確に出すためには、多くのトレーニングと経験を積まなくてはならず、NTの検査基準を設けている「FMF」のNT有資格者はこの画面を出すトレーニングをしており、一年に一回資格更新テストを受けています※NT資格についてはこちら

図2
※クリックで原寸表示

(図2)正常でも赤ちゃんが大きくなるにつれて、NTも少しずつ大きくなります。こちらのグラフの、横軸が赤ちゃんの頭臀長(赤ちゃんの頭からお尻の長さでCRLとも呼ばれます)、縦軸がNTの大きさです。白い線が、正常胎児の平均的なNTの大きさで、赤い枠内が正常なNTの範囲です。青く塗っている部分が、NT陽性、つまりNTが正常よりも分厚いとされる部分です。

図3
※クリックで原寸表示

(図3)グラフを見てお分かりのように、確かにダウン症や18トリソミー・13トリソミーの赤ちゃんたちはNTが分厚いですが、正常NTのトリソミーの赤ちゃんたちもいます。このように、NTが薄ければダウン症などの可能性がないとは言えないのです。NTが正常でもクリフムのようにいろいろな超音波マーカーを組み合わせると、トリソミーの検出率はほぼ100%に近くなります。

NTについてのQ&A

出生前診断でよく耳にする「NT」について、Dr.ぷぅがQ&A形式でわかりやすく解説します。

Q1. NTって、赤ちゃんが病気という意味?

A.違うので、ご安心ください。
NT(首のうしろのむくみ)はすべての赤ちゃんに見られます。 正常な赤ちゃんでも、成長にともなって少しずつNTは厚くなっていきます。

Q2. NTが厚いとダウン症なの?

A.NT=ダウン症ではありません。
確かにNTが厚いとダウン症の可能性は上がりますが、5mmのNTでも病気のない赤ちゃんはたくさん生まれています。一概にNTの厚さだけで病気と決めつけることはできません。

Q3. NTが正常なら病気はないの?

A.NTの厚さだけでは見つからない病気もあります。
NTが正常でも、ダウン症の赤ちゃんや先天的な病気をもつ赤ちゃんもいます。

Q4. NTが厚いと、他にも病気の可能性はあるの?

A.ダウン症だけが見つかるわけではありません。
NTが厚い赤ちゃんは、ダウン症以外の染色体トリソミー、他の染色体の異常や微細染色体異常の病気、遺伝子変異による病気、また心臓や骨の病気、お腹の臓器や尿路系の病気など、いろいろな先天性の病気が隠れている可能性があります。

クリフムの胎児ドックについて

クリフムの胎児ドックでは、染色体のスクリーニング検査と、赤ちゃんの全身の診断を行うことができます。胎児ドックを受けてから、絨毛検査などの確定検査を受けるべきか、ご判断いただけます。

クリフムでの胎児ドックと絨毛検査は「迅速」が強みです。胎児ドックの結果を当日中にお渡しできるだけでなく、絨毛検査も胎児ドックをしたその日に行って、その結果であるダウン症(21トリソミー)・18トリソミー・13トリソミーの確定結果も、最短1日後(翌日)にお伝えします。つまり、NTが分厚いと言われても、最短2日あれば心配が解消できることになります。

NTが分厚いと言われてから羊水検査まで何週間も待ち、21トリソミー・18トリソミー・13トリソミー検査結果が出るまでさらに待つということはありませんので、ママとパパが結果を待って不安を抱えている時間をとても短くできます。

NTを評価する資格について

NTの検査基準を設けているFMF(Fetal Medicine Foundation)の認定医は、日本国内にはDr.ぷぅをはじめ227人の有資格者がいます(2021年03月31日時点)。

従来、NTの定義や検査方法は確立されていなかったのですが、イギリスKings Collegeのニコライデス(Kypros Nicolaides)教授がFMFを創設し、その指針を提示されました。今では、世界でも多くの国がその基準にのっとって検査を行っていますが、日本ではいまだにFMFの基準を知らずにNTの検査を行っている施設が多いのが現状です。

FMFでは厳格な基準を定めており、高難度の試験を合格した人だけに、NT Certificate(NT資格。右図)を発行しています。

日本では、2008年1月にDr.ぷぅがオーガナイザーとして、大阪国際会議場ではじめてFMFのNTセミナーを開催しました。その後、FMFの実践コースもクリフムで開催しています。

ただ、NTも赤ちゃんの状態を検査するいち指標でしかありません。FMFからは、その他の様々な部位にも、検査資格を発行しています。

  • 鼻骨資格
  • 三尖弁逆流資格
  • 静脈管血流資格
  • 子宮動脈ドプラ資格

これら全ての資格を持っている方は日本では少数ですが、クリフムのDr.ぷぅ、Dr.松澤、中村看護師長、町田臨床検査ユニットリーダーの4人は、NTのほかこれらすべてのFMF資格を取得し、毎年更新しており、各種の計測では全国でも最も経験数が多い施設です。

クリフムでは、上記以外の部位の所見も行い、さらに正確な胎児評価を行えるよう取り組んでいます。