胎児の脳ドック
(お腹の赤ちゃんの脳専門外来)

Fetal brain outpatient care

胎児の脳ドック(お腹の赤ちゃんの脳専門外来)

*クリフムでは中期ドック・後期ドックを受けられるすべての患者様は胎児ドックに脳ドックが含まれています。

脳に異常所見が見つかって心配なママへ

胎児の脳ドック(お腹の赤ちゃんの脳専門外来)

脳室の大きさや脳に見える影など、妊婦健診を受けて、お腹の赤ちゃんの発達に不安を感じるママもいるでしょう。

「胎児の脳ドック(お腹の赤ちゃんの脳専門外来)」では、超音波検査で脳の画像を撮り、週数と照らし合わせて発達状態を確認できます。

  • 胎児の頭が大きい、あるいは小さいと言われた方
  • 胎児の脳室が大きい、水頭症と言われた方
  • 胎児の脳の中に影があると言われた方
  • 上の子供さんに発達障がいがある方
  • 上の子供さんが水頭症・脳の病気や頭蓋骨の病気で治療した経験がある方
  • 上の子供さんにジュベール症候群・遺伝性水頭症・滑脳症などの遺伝子変異による病気がある方
  • 妊娠中のお薬の服用やウイルス感染などの影響で赤ちゃんの脳発育が心配な方

どのような患者様でも、クリフムの胎児ドックはその週数で脳がきちんと発達しているかどうかを確認します。

胎児の脳ドック(お腹の赤ちゃんの脳専門外来)で分かること

お腹の赤ちゃんの脳は週数を経る毎に大きく形を変えていきます。それぞれの週においてしっかり脳が発達していることはとても重要です。最近では妊娠18週から20週という早い時期に、大脳皮質の発育が悪くなるケースが予測できるようになってきました。

クリフムでは、胎児脳神経系超音波という特殊な超音波検査で、胎児の脳をMRIよりも鮮明にうつしだし、細かい脳構造の角度や大きさを三次元的に計測したり、血管の発育などを確認します。

例えば脳室拡大や脳の影について指摘を受けた、水頭症の疑いがあるなどの具体的なケースはもちろん、上の子どもに何らかの脳の病気がある・遺伝性の病気を患っているなど、お腹の赤ちゃんの脳発達が心配であるという事情はさまざまにあります。また、特になんの指摘も受けておらず、「元気に発達しています」と言われていらっしゃる患者様の赤ちゃんの脳に重大な病気や脳内出血が見つかることもあります。

どなたでも脳ドックは受診できます(クリフムの中期ドック・後期ドックはすべて胎児脳ドックを含んでおります)ので、ぜひ赤ちゃんの脳がきちんと発達しているかを早い時期に確認しておきましょう。お気軽にご相談ください。

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脳発達を見るクリフムの胎児の脳ドック

脳の発育

この図は、Dr.ぷぅが、2019年、国際ジャーナルに掲載した図です。このように、胎児の脳は週数とともにどんどん形が変わっていきます。クリフムの脳ドックでは、各週数で変わっていく脳の発育をいろいろな計測も加えて行っています。

「胎児脳ドック」の専用フロアを開設

Dr.ぷぅは1996年から25年間、胎児の脳を観察し続けてきて、国際的にも高く評価されています。胎児の脳については学会誌や多くの英文の本にも執筆しており、またDrぷぅ自身が胎児脳の本を3冊出版しています。

多くの脳の病気がある胎児や、いろいろな障がいのあるきょうだいの子供さんたちと触れ合ってきたDr.ぷぅは2019年末に、ビル4階に「胎児脳」を詳しく診断するための専用フロアを設けました。広々したスペースは、障がいのある上の子供さんを車椅子で連れて、お腹の赤ちゃんの脳ドックをゆったり受けられるようにとの想いからです。

25年の経験と専門性を活かして中期ドック・後期ドックでは、胎児の脳ドックをすべてのママに提供しております。脳に異常が疑われた場合には、羊水検査で遺伝子検査に進む場合もあります。

胎児脳ドックについて

胎児脳神経超音波検査(脳ドック)とは

胎児脳ドックは、Dr.ぷぅが、1996年に胎児脳内を経腟超音波法でみることを始めたのがきっかけです。

日本ではDr.ぷぅが、この分野の先駆者で、クリフムの脳ドックは海外でも有名で、研修希望するドクターが数多くいます。Dr.ぷぅは毎日、胎児の脳発育を細かく観察しているので、赤ちゃんの脳を見ただけで妊娠週数がわかるほどです。

普通の妊婦健診では、脳を輪切りにして簡単に頭の大きさを測る程度ですが、クリフムの脳ドックでは、脳をいろいろな断面で観察し、これらの図のように、脳内のいろいろな部分をオリジナルのやり方で計測し、赤ちゃんの脳が正常に発達しているかを確認していきます。

中後期ドックで来院される患者様の赤ちゃんにはすべて脳ドックを行います。ただし、赤ちゃんの頭の位置によっては、休憩時間を入れたり、ママに歩いてもらったりして赤ちゃんの位置が変わるまで待つこともありますので、時間に余裕を持って来院されることをお勧めします。

また、発育には個人差もありますが、少しでも心配がある場合には1週間後、2週間後に脳フォローアップスキャンを受けていただくことをお勧めしています。遺伝子変異などの疑いがある場合には、きちんとカウンセリングをして、検査希望の場合には、できる限り早く結果がでるようにいたします。

大脳・脳室・脈絡そうの発達

胎児脳のシルビウス裂角度の計測(将来の大脳皮質発達を予測する重要な要素)

胎児MRI検査とは

クリフム出生前診断クリニックでは胎児脳神経系精密検査(脳ドック)を実施し画像診断を行なっていますが、超音波検査を補完する画像検査として、MRI検査を行うことにより、脳ドック画像診断を裏付ける事ができます。また超音波での画像描出が難しい症例に対する画像描出手段としても利点があります。

クリフムでは、梅田脳・脊髄・神経クリニックとの提携により、MRIテクノロジー(3.0テスラ)でMRIエキスパートが胎児脳MRI撮像を行います。MRI検査は、磁場(磁石の力)と電波を使用して体内の情報を画像化し撮影する検査ですので、X線撮影やCT検査のようにX線(放射線)を使いませんので、被ばくもありません。また、MRI検査による胎児への悪影響はないと報告されています。

クリフムでの胎児脳MRI撮像をするのは以下のような場合です。

  1. 胎児位置・妊娠週数・胎盤位置異常・子宮筋腫などにより脳神経系超音波検査が不適である
  2. 胎児脳神経系異常が疑われる
  3. 脳神経系異常・発達異常の児を分娩した既往がある

梅田脳・脊髄・神経クリニックでは、毎週木曜日12:20-14:20がクリフムMRI撮像時間となっております。ただし、緊急性の高い場合は要相談となります。

MRIMRI画像

脳神経に関連する遺伝子検査とは

クリフム出生前診断クリニックでは胎児脳神経系精密検査(脳ドック)を実施し画像診断を行なっていますが、胎児水頭症に関する遺伝子変異は100種類以上、また、大脳皮質発育異常(MCD)に関連する遺伝子変異も100以上が報告されています。これらの多くの遺伝子はクリフムで行っている、6,704個の遺伝子変異を調べることができるターゲットエクソーム検査に含まれています。

脳と遺伝子変異

胎児脳異常の中でも特に遺伝子変異による先天異常が疑われる場合には、絨毛や羊水のDNAで胎児遺伝子検査をすることが可能です。その場合には両親のDNAも必要となります。遺伝子変異による先天性の大脳異常では、かなり生まれてからの神経学的予後が厳しいことも予測されます。

もちろん全ての異常が遺伝子変異だけで説明ができるわけではありません。遺伝子検査で正常という結果であっても、脳ドック・脳フォローアップスキャンの状況も合わせて総合判断して診断していくことになります。中には、羊水検査では遺伝子変異が検出されず、脳の一部で遺伝子変異がおこった細胞が増えてしまって脳異常となる場合もあります。

小さい小さい遺伝子変異により、脳が発育していくステップのひとつが崩れ、重い障がいに結びつくことがあるのです。

誰でも遺伝子検査ができるわけではありません。遺伝子検査をするには、ある一定の条件があり、神経学分野では、胎児脳神経超音波(脳ドック)検査で、遺伝子変異の可能性があると判断された場合に限られます。

脳ドックでわかるいろいろな脳の病気

脳ドックの料金

脳ドックは胎児ドックに含まれる診療です。下記は胎児ドックの料金になります。

基本検査
(赤ちゃんひとりにつき)
41,800円(税込)
胎児脳のフォローアップ超音波検査 14,300円(税込)
精密検査料
(赤ちゃんひとりにつき)
5,500~44,000円(税込)
※「基本検査」後、必要に応じて基本料金に加算
結果カウンセリング 3,850~22,000円(税込)

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胎児の脳ドックで見つかる赤ちゃんの脳の病気について

1.頭蓋骨の病気の種類

胎児には、何らかの原因で頭蓋骨がうまく形成されないことがあります。神経管がうまく閉鎖できないために頭蓋骨全体が形成されなくなるのが無頭蓋症(むとうがいしょう)、頭蓋骨の一部が形成されず、脳が頭蓋の外に飛び出てしまうのが脳瘤(のうりゅう)です。

その他、頭蓋骨早期癒合症(とうがいこつそうきゆごうしょう)という、本来より早い胎児期に頭蓋骨が癒合したことで頭や顔面の形が妊娠中に徐々に変形してしまう病気もあります。頭蓋骨早期癒合症は遺伝子変異による病気がいくつかあり、顔面の特徴や合指症や合趾症、巨大な母指などの合併症が見られることもあります。

2.大脳の初期発達

妊娠のごく初期に大脳は左右に分離し超音波でも妊娠8週くらいから大脳が分離していることがはっきり見えてきます。大脳がきちんと分離されない場合は全前脳胞症(ぜんぜんのうほうしょう)という病気です。分離の程度により、無分葉型・半分葉型・分葉型の3つのタイプに分類されています。顔面中部に口唇口蓋裂・無鼻症・象鼻・単眼症や眼窩狭小などの形成異常が合併することが多いです。

3.脳室の拡大・水頭症

脳脊髄液がせき止められてしまったため流れ出ずに脳室に残り、結果として脳室が大きくなってしまう状況は水頭症と呼ばれます。似た様な状況で、脳脊髄液は流れているのに脳室が大きい場合は水頭症とは呼びません。大脳自身の発育がゆっくりしているために脳室が大きくなっている、つまり大脳が週数に比べて薄い、ということが原因である場合があります。

水頭症・脳室拡大というのは状況を表す言葉で、病名ではありません。水頭症にしても、脳室拡大にしても、はっきりと原因を確認する必要があります。原因により病気の名前が異なります。

クリフムでは、拡大している脳室の形から原因を絞っていきます。また、脳室拡大や水頭症に関係する遺伝子変異は100種類を超えると言われています。脳室拡大や水頭症の原因遺伝子が特定されると、生まれてからの予後や障がいの程度などが予測できることが可能となってきます。

4.脳梁の発達異常

右脳と左脳をつなぐ神経線維を脳梁といいます。脳梁が形成されない場合、脳梁欠損(のうりょうけっそん)と言います。

脳梁欠損がある場合には、脳のそのほかの部分に異常がないか、他の合併症などがないかなどを精密に検査する必要があります。遺伝子変異による場合もあり、その場合には神経学的な症状がでることも多いとされています。

脳梁欠損のほかに全く異常がなく、遺伝子変異なども見られない場合には、多くの赤ちゃんでは全く症状がなく元気に大きくなります。

また、脳梁欠損がある場合、右と左の大脳の間に水風船ができることもよくありますが、この水風船は自然に縮んだり、大きくなったりするので定期的に観察し、生まれてから手術の適応になるかを考えることになります。脳梁のある場所に脂肪腫ができることもありますが、これは良性のもので、手術の適応にはなりません。

5.大脳皮質発育異常(MCD)

大脳皮質発育異常は、妊娠前半期の脳発育が深く関係しています。大脳皮質発育異常はMalformations of Cortical Development(MCD)といわれ、さまざまな遺伝子変異が関与することがわかってきています。MCDの赤ちゃんは、脳のシワがうまくできなかったり、細かいシワが多すぎたりして、てんかんや発達障がいの原因となり、小児神経科では問題になることが多い疾患です。

かなり多くの種類がありますが、大きくは3つのタイプに分類されています。

  • 細胞が増えすぎたり、細胞の数を調節する時の障害(巨脳症・片側巨脳症・小脳症など)
  • 神経細胞が大脳皮質を作るために脳の中を移動するときの障害(滑脳症など)
  • 神経細胞が移動したあとの髄鞘化(ずいしょうか)などの過程の障害(多小脳回症や裂脳症など)

6.小脳・後頭蓋窩(こうとうがいか)の異常

脊髄髄膜瘤がある赤ちゃんでは、「キアリⅡ型奇形」が起こります。これは、小脳・延髄が脊柱管内に引き下ろされ、その結果として髄液の流れを止め、水頭症の原因となる病気です。キアリⅡ型奇形という名前ですが、実際には奇形ではなく、小脳自体の病気でもありません。

小脳虫部の一部または全部の欠損と後頭蓋窩正中の嚢胞を認め、水頭症などの合併症を起こす「ダンディー・ウォーカー症候群」は、名前は知られていますが発症頻度は稀です。クリフムに「ダンディー・ウォーカー症候群」の疑いということで紹介されてこられた方で本当にダンディー・ウォーカー症候群だった赤ちゃんはほとんどいません。稀にダンディー・ウォーカー症候群の赤ちゃんが来られますが、染色体異常・遺伝子変異と関連していることが多いため、遺伝学的な検査は必ず必要になってきます。

「ジュベール症候群」は、脳の病気というわけではなく、全身病です。「ジュベール症候群」は全身にある繊毛(生体内の多くの細胞に生えている毛のようなもので、正しい方向に液体を流す)の病気です。脳では小脳の虫部がなく脳幹にも切れ込みが入ったような超音波画像やMRI画像となり、「モーラー・トゥースサイン(臼歯のような形)」という名前で有名です。

「ジュベール症候群」は現在37個のサブタイプがあり、それぞれ違った遺伝子変異が関係しています。かなり重症となる子供さんも多いです。「ジュベール症候群」は家族性の遺伝子変異が原因であり、原因遺伝子がわかっている場合には絨毛検査で妊娠初期に確認することが可能です。

小脳がうまく左右に分かれず一塊になる病気を「ロンベンセファロシナプシス」といい、珍しい病気と言われています。しかし、生まれてきても気づかれないこともあり、本当の発生頻度はわかっていません。水頭症を合併して重篤な状況になる赤ちゃんもいますし、元気に大きくなって育っている子供さんもいます。この病気はまだ関連遺伝子が発見されていません。

7.その他

「くも膜のう胞」は頭蓋内のいろいろな場所でのう胞(水風船)が発生して脳を圧迫します。妊娠中に消失傾向となる場合もあり、大きくなってくる場合もあります。生まれてからは小児神経外科で手術をするか検討されます。

「ガレン大静脈瘤」は血管の先天性異常による脳内にできる血管の瘤です。「静脈瘤」という名前がついていますが、実は動静脈シャント(動脈と静脈が末梢血管を通さずに繋がっている状態)なのです。「ガレン大静脈瘤」は治療方法もありますが、胎児期に脳内の循環障害のために脳障害が多発することがあるので、脳神経超音波検査で定期的に脳内の詳細チェックが必要になります。

その他、胎児脳ドックで見つけられる異常には以下のようなものがあります。

脳腫瘍にはいろいろな種類があり、悪性か良性かを診断する必要があり、また腫瘍に伴う出血の程度なども見極める必要があります。

脳内出血例では出血を起こしやすい遺伝子変異が見つかることもあり、また母体の血小板抗体などが関係することもあります。状況により、分娩方法やタイミングを決めていく必要があります。クリフムでは脳内出血の例では分娩施設と協力して脳ドックを繰り返しています。

脳内石灰化病変がある場合、まったく良性のこともありますが、ママの感染(サイトメガロウイルスやトキソプラズマ)が赤ちゃんに移行して脳内に多発する石灰化病変となることがあり、サイトメガロウイルス抗体の検査などが必要となります。

胎児の脳ドック(お腹の赤ちゃんの脳専門外来)の受診の流れ

予約

診療はすべて完全予約制です。胎児ドックは受診する人が多いため、心配な人はなるべく早めの予約をおすすめします。また、ママとパパそろっての受診を原則としています。お電話か予約フォームからご予約ください。

来院時には紹介状、健康保険証、母子手帳をお忘れなくお持ちください。なお紹介状がない場合は別途5,500円(税込)が必要です。

現在コロナウイルス感染症対策のため、診察は、ママだけで入っていただきます。パパやその他のご家族は「ご家族用 絆ラウンジ」でお待ちいただきます。

受付

どうしてもお待たせすることが多いため、時間に余裕を持って受診してください。受付後、ママの血圧、体重などを測定します。

診察

超音波でじっくり時間をかけて診察しております。診察中に、ママとパパもモニター画像でお腹の赤ちゃんの様子を確認できます。画像・動画はコピーしてのお渡しも可能です。

医用画像クラウドサービスで超音波画像が見られる

Tricefy(トライスファイ)

クリフムでは、医用画像クラウドサービスである「Tricefy(トライスファイ)※英語HP」を利用しています。Tricefyでは、赤ちゃんの超音波画像をママのスマートフォンと直接共有することができます。

もちろん徹底したセキュリティのクラウド上に画像保存ができるため、可愛い赤ちゃんの画像をいつでも・どこからでも、さまざまなデバイスから見ることができます。