NIPT 新型出生前診断

NIPT(Non-invaive Prenatal Genetic Testing, 非侵襲的出生前遺伝学的検査)

2013年7月7日更新

NIPTはダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの三種類のみ(下の図の部分)の染色体異常が高い精度でわかるというものです。

Thompson Anomaly

NIPTは『診断』とは考えられておらず、従って羊水検査や絨毛検査に取って代わるものではないとされています。最近ではNIPTは決して診断検査ではなくスクリーニング検査であるということからNIPSと呼ぶべきではないかと国際出生前診断学会でも言われています。中には染色体数異常があるにも関わらず検出されない場合もあるし、偽陽性結果(NIPT陽性であっても羊水検査で正常である場合)もあります(下の図を参考にしてください)。

NIPTは非常に精度が高いと言われていますが、この根拠となるデータはほぼ『高リスク』例での研究であり、『低リスク』例でのデータはまだ少ないのです。アメリカでは多くの妊婦が受けているという話ですが、NIPTが保険でカバーされ妊婦負担が極めて低額であることなど日本とは実情がまったく違います。(日本では実際の妊婦負担額は210,000円です)

日本では、2012年8月に国立センター・大学などが日本で始めるという報道がなされ、『来月にも・・・』『この秋から』『もうすぐ』と言われながらなかなか始まらず、日本産婦人科学会からNIPTを導入する施設は日本医学会の認定部会が認定・登録した施設に限定して行うとした運用指針が公表され、やっと2013年4月から実際の検査が全国約20施設(大学・センター)で臨床研究として行われました。2013年7月に公表された読売新聞社世論調査ではNIPT賛成が48%、反対30%、答えない22%であり、賛成が反対を上回ったものの半数に満たない現状が示されています。

Yoseitekichuritsu

この図からは、陰性的中率(陰性と出た場合に本当に陰性である)はヤンママ(20歳)でも落ち着きママ(40歳)でも非常に高いので、「陰性」と出たときには素直に喜んでいいでしょう。

しかし、陽性的中率(陽性と出た場合に本当に陽性である)は、ヤンママ(20歳)では50%、落ち着きママ(40歳)でも91%であり、「陽性」と出ても確定検査をしたら染色体は正常であることがまずまずあるということです。

NIPTとはどういう検査?

ダウン症の赤ちゃんがママのおなかのなかにいる場合、正常の1.5倍の21番DNA量がママの血中に存在する事になります。しかし、赤ちゃんのDNAはママの血中に少ししかないので、21番DNA量の差はごくわずかです。NIPTは次世代シークエンス法といわれる新技術で、このごくわずかな胎児DNA量の違いを検出できるのです。

nipt

国際出生前診断学会(ISPD)より声明では

「母体年齢のみでのリスク評価は正当ではない」

「初期超音波もNTのみの場合は不十分」であるとされています。

もちろん、いずれは超音波で検査するよりも血液検査を先にする時代が来るでしょう。

NIPTは高リスクの人には有効で偽陰性・偽陽性は非常にすくないというデータには異論はないようです。

ちなみに12週時のダウン症胎児のどれくらいが実際に35歳以上妊婦さんに宿っているのでしょうか。

theoretical ds number at 12 weeks.089

しかし、おなかの赤ちゃんの診断です。赤ちゃんを見ずに35歳以上で希望すれば採血して判定が出ることで妊婦さんたちを混乱させることにはならないか心配です。赤ちゃんをきちっと超音波で診断してから検査を受けるかどうかを決める、つまり今現在世界で行われている初期超音波スクリーニング検査や初期組み合わせ検査を行った上で、実際問題を考えてNIPTが本当に患者様の不安を解消してくれるかどうか、患者様が判断すべきなのではないでしょうか。

国際出生前診断学会の声明では妊婦さんたちが知っておくべき情報として以下のように述べられています。

現時点では、NIPTは胎児の21,18,13トリソミーの検出に焦点を絞れば有効と言える

検出率は高いが、決してすべての21,18,13トリソミー例を検出できるわけではない

偽陽性率は低いが、時には偽陽性結果があるためNIPT-MPSで陽性結果が出た場合には必ず羊水検査か絨毛検査による確定診断をしなければならない。

NIPT検査をしても臨床的に意味がない例があるが、このような患者には侵襲検査(絨毛検査、羊水検査)が必要である。特にBMIが高い妊婦は検査ができなかったり結果がでないリスクが高い。また、妊娠後期においてはNIPT-MPSが再検やその後の侵襲検査などをする時間がない